幼い頃、両親を失った羽藤慎。
唯一残されたのは、生まれつき身体が弱く入退院を繰り返すたった1人の妹である小鳥だった。
ある日の病室でふたりは、果たされることのない小さな約束を交わす。
大切なものを目の前で失った慎の心は、いつしか周囲との関わりを持つことを否定していた。
その頃から慎には死んだもの達と話せる力が宿り、それが原因で周囲からは厄介者扱いされ転校させられる。
そんな高校2年の夏。
転校初日に出会った明るさ全開で慎に話しかけてくる女子生徒、在原撫子。
この出会いが、慎の人生を大きく変えることになる。
撫子の影響で様々な人と接する中で、少しずつ慎の心境に変化が現れる。
だが、事態は思いもよらぬ所で急変する。
いったい何が起きているのか、いったい何が自分から大切なものを奪っていくのか。
その答えは、予想外に残酷なものだった。
絶望の暗闇の中で、明かりを手に入れるために慎はとある少女と最後の約束を交わす。
これは、1人の少年が必死に生きたひとつの夏の夢物語。
